京都地方裁判所 昭和49年(ワ)381号 判決 1976年3月23日
主文
原告の請求をいずれも棄却する。
訴訟費用は原告の負担とする。
事実
第一、当事者の求めた裁判
一、請求の趣旨
1、訴外中村(旧姓安田)美世の被告に対する昭和四八年一二月一二日付消費貸借契約に基づく金二、五〇〇万円(但し、二、〇〇〇万円と五〇〇万円の二口)の債務につき、原告の被告に対する連帯保証債務の存在しないことを確認する。
2、被告は別紙物件目録記載の土地建物(以下本件不動産という)について京都地方法務局向日出張所昭和四八年一二月一四日受付第二七三三二号(あ)(い)抵当権設定登記並びに同出張所同日受付第二七三三三号所有権移転請求権仮登記の各抹消登記手続をせよ。
3、訴訟費用は被告の負担とする。
二、請求の趣旨に対する答弁
主文同旨
第二、当事者の主張
一、請求原因
1、原告は、本件不動産を所有している。
2、被告は、本件不動産について請求の趣旨第二項記載の各登記を有している。
3、又被告は、原告に対し請求の趣旨第一項記載の債権を有すると主張している。
4、しかし、原告は被告との間の抵当権設定契約や連帯保証契約等に全く関知せず、これは当時原告の二男訴外安田泰三の妻であつた前記訴外美世が原告に無断で原告の印鑑を冒用してなしたものである。
5、よつて、原告は被告に対し、前記連帯保証債務の存在しないことの確認と前記各登記の抹消登記手続を求める。
二、請求原因に対する認否
右1ないし3の事実は認める。同4の事実は争う。
三、抗弁
被告は、昭和四八年一二月初旬、訴外美世から融資の依頼を受け、原告に説明して原告が連帯保証人になること、本件不動産を担保に提供することの承諾を得たうえ、同月一二日、美世との間で、金二、〇〇〇万円と金五〇〇万円の二口合計金二、五〇〇万円の消費貸借契約を締結して右金員を貸付け、右美世の債務につき原告との間で連帯保証契約並びに本件不動産について抵当権設定及び代物弁済予約契約を締結し、これに基づき原告主張の各登記をなしたものである。
四、抗弁に対する認否
全部争う。
理由
請求原因1ないし3の事実は当事者間に争いがない。
成立に争いのない乙第二号証の一、二、官署作成部分についてはいずれも成立に争いなく、原告作成名義部分については原告本人尋問の結果(第一、二回)によりその原告の氏名が原告の自署によるものであることが認められるからいずれも全部真正に成立したものと推定すべく、安田美世作成名義部分については証人山崎邦三の証言によりいずれもその真正な成立を認めることができる乙第一、第五号証、証人山崎邦三の証言並びに被告本人尋問の結果によれば、被告は、美世との間に昭和四八年一二月一二日、金二、〇〇〇万円と金五〇〇万円の二口の消費貸借契約を締結して右金員を貸付け、同日原告との間に右美世の債務につき連帯保証契約を締結し、更にその担保のため本件不動産につき抵当権設定契約並びに代物弁済予約契約を締結して、これに基づき原告主張の各登記をなした(但し、登記簿には登記原因が昭和四八年一二月一一日金銭消費貸借と記載されている)ことが認められ、右認定に反する甲第二号証の二、証人安田重雄、同安田泰三、同石川鈴子の各証言並びに原告本人尋問の結果(第一、二回)は採用できず、他に右認定を覆すに足りる証拠はない。
右事実によると、原告は被告に対し請求の趣旨第一項記載の債務を負担するものといわねばならず、又同第二項記載の各登記も有効であるといわなければならない。
よつて、原告の本訴請求は理由がないのでこれを棄却することとし、訴訟費用の負担につき民訴法八九条を適用して主文のとおり判決する。
(別紙)
物件目録
京都府向日市物集女町中海道一一番
一、宅地 六九五・二七平方米
京都府向日市物集女町中海道一一番地
家屋番号五三番
一、居宅 木造瓦葺平家建 九三・二二平方米
1 物置 木造草葺平家建 七〇・七四平方米
2 物置 木造草葺平家建 七・二七平方米
3 居宅 木造瓦葺平家建 二四・七九平方米